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日本の学校からインター校へ。〜メリットやデメリットを徹底解説〜

お子さまの教育について考える中で、「インターナショナルスクール(インター校)」という選択肢が気になっている保護者の方も多いことでしょう。しかし、いざ情報収集を始めると、「グローバル校とは違うの?」「私立とは何が違う?」「費用は?」など、さまざまな情報が溢れており、かえって混乱してしまうことも少なくありません。

インター校への転入は、単なる「学校選び」ではなく、ご家庭の教育方針、ひいてはお子さまの将来の進路を左右する「大きな決断」です。

この記事では、その決断で後悔しないために、まずは知っておくべき「全体像」を、一つひとつ丁寧に、詳しく解説していきます。

1. 最大のポイント:「一条校」かどうか

まず、保護者の方が最も混同しやすい、しかし最も重要な違いからご説明します。

それは、その学校が日本の法律(学校教育法第一条)に基づいた「公式な学校」かどうか、という点です。

これを、法律用語で「一条校」と呼びます。

一条校

広尾学園
広尾学園

「一条校」とは、文部科学省が定めた「学習指導要領」という共通のルールに沿って運営されている、私たちがよく知る「日本の学校」のことです。

これには、運営母体の違いによって以下の3種類があります。

  1. 公立学校(〇〇区立、〇〇都立など)
  2. 国立学校(大学の附属など)
  3. 私立学校(〇〇学園、〇〇学院など)

ここで大切なのは、最近よく耳にする「グローバル校」(広尾学園、三田国際など)と呼ばれる学校も、この「3. 私立学校」の一種である、という点です。つまり、あくまで「一条校」という日本の公式な枠組みの中で、英語教育や国際的なプログラム(IBなど)に特に力を入れている学校、ということです。

このパスを選ぶ最大の意味は、卒業時に「日本の高校卒業資格」が与えられ、それによって日本の大学の「一般入試」を受験する資格が自動的に得られることです。

非一条校

これこそが、一般的に「(本物の)インターナショナルスクール」と呼ばれるものです。

これらの学校は、日本の法律上は「一条校」ではなく、自動車教習所や専門学校などと同じ「各種学校」という扱いや、無認可(教育施設)であることが多いです。

なぜなら、これらの学校はもともと、日本に駐在する外国籍の社員や外交官の子どもたちのために設立された経緯があり、日本のルールではなく、アメリカやイギリス、あるいは国際的な教育基準に沿って運営されているからです。

このパスを選ぶ最大の意味は、卒業時に「日本の高校卒業資格」は得られないということが一般的です。その代わり、IBディプロマやアメリカの高校卒業資格など、「国際的な卒業資格」を得ることができます。これにより、日本の大学の「一般入試」を受験することは原則としてできなくなります。

※ただし、条件は学校によって異なるため、必ず各校の最新情報を確認してください

2. 一目でわかる! 2つの進路の比較

つまり、ご家庭が下すべき最初の大きな決断は、「日本の教育システムに残るか、そこから出るか」ということです。

両者の違いを、以下の表にまとめます。

比較項目日本の「公式」な学校(公立・国立・私立・グローバル校)「本物」のインター校(非一条校)
法的地位一条校非一条校(各種学校など)
卒業資格日本の卒業資格国際的な卒業資格
主な言語日本語(英語は「教科」として学ぶ)英語が「公用語」(授業・生活すべて)
主な大学進路日本の大学(一般入試 OK)海外の大学
学費(年間)低〜高(私立やグローバル校は高い)非常に高い(250万〜400万円以上)
学校の例地域の公立小中、筑波大附属、広尾学園、三田国際 などASIJ、西町インターナショナル、BSJなど

3. メリットとデメリット

日本の学校からインター校へ移ることのメリットと、それ以上に深く理解しておくべきリスク(デメリット)を詳しく解説します。

メリット

  1. 「ツール」としての本物の英語力インター校の最大の魅力は、単に英語が「話せる」ようになることではありません。日本の学校で「教科」として学ぶ英語とは異なり、インター校では英語は「公用語」です。数学や理科、歴史を学び、レポートを書き、ディスカッションをするための「道具」として日常的に使います。その結果、日本語を介さず「英語で考える」思考回路が養われ、将来グローバルな舞台で活躍するための本物のコミュニケーション能力が身につきます。
  2. 「なぜ?」を育てる主体性と批判的思考インター校の多くは「なぜそうなるのか?」を生徒自身が探究し、考えるプロセスを重視します。「答えは一つではない」という前提のもと、リサーチ、グループワーク、プレゼンテーションを大量にこなし、自分なりの答えを導き出す訓練をします。これにより、受動的な学習者ではなく、主体的に問題解決ができる「思考力」が育まれます。
  3. 多様性が「当たり前」の日常環境「グローバルマインド」とは、本を読んで身につくものではありません。インター校には、人種、宗教、文化、価値観が全く異なるバックグラウンドを持つ生徒や教員が世界中から集まっています。肌の色や話す言葉が違って当たり前の環境で日々協働することで、自然と「多様性」を受け入れる感覚が養われます。これは、将来どんなコミュニティに進んでも、偏見なく他者と協働できる大きな力となります。

デメリット

  1. 高額な学費と費用私立学校の学費(年間100万円前後)と比べても、インター校の学費(年間250万〜400万円以上)は桁違いです。これに加えて、入学金、施設維持費、スクールバス代、寄付金、さらにはEAL(英語補助)の追加費用などがかかり、ご家庭の経済的な負担は長期間にわたり非常に大きくなります。
  2. 「日本の大学への一般入試」という選択肢これが最大の決断です。「非一条校」であるインター校を卒業しても、「日本の高校卒業資格」は一般的に得られません。したがって、日本の大学の「一般入試」を受験する道は、原則として閉ざされます。 もちろん、「帰国子女枠」や「AO・推薦入試」、「英語学位プログラム」といった特別なルートで国内大学に進学する道はありますが、一般入試という最も間口の広い選択肢を手放す覚悟が必要です。
  3. 学年相応の「日本語力」の維持 学校生活がすべて英語になると、当然ながら日本語(特に「読み・書き」)に触れる時間は激減します。家庭で意識的に漢字や読書、日本の歴史などをサポートし続けなければ、学年相応の高度な日本語力を維持・向上させるのは非常に困難になります。

4. インター校の「3大カリキュラム」

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インター校は、どの教育ルール(カリキュラム)を採用しているかで、教育のスタイルが異なります。代表的な「ビッグ3」をご紹介します。

  1. IB(国際バカロレア)スイス発祥の、世界共通の教育プログラムです。「なぜ?」を深く考える「探究型」の学習スタイルが特徴で、高校の最終2年間(DP)では、6つの分野の科目と、論文(TOK/EE)が課されます。知識の暗記ではなく、思考力、表現力、国際的な視野をバランスよく育てることを目指しており、非常に難易度の高いカリキュYラムとして世界中で評価されています。関連記事:国際バカロレア(IB)とは何か?
  2. AP(アドバンスト・プレースメント / 米国式)アメリカの教育システムをベースにしています。最大の特徴は、高校生のうちに大学レベルの科目を「先取り」して履修できる(AP)ことです。IBのように全員共通のプログラムではなく、生徒が自分の興味や得意分野に合わせて、約38科目の中から「アラカルト」のように科目を選択・受験できる自由度の高さが魅力です。

関連記事:AP (Advanced Placement) とは?

  1. A-Level(Aレベル / 英国式)イギリスの教育システムです。最大の特徴は、早い段階から専門分野を絞り込むことです。高校の最終2年間では、将来大学で専攻したい分野(例:数学、物理、化学)に合わせて、科目を3〜4つに厳選し、その分野を大学レベルで深く掘り下げて学びます。特定の分野で高い専門性を目指す生徒に向いています。

関連記事:A-levelsとは?

5. 卒業後の進路は?

インター校の教育は、海外大学進学を前提に設計されています。

  • 海外大学:アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、シンガポールなどの世界中の大学が、インター校の卒業資格(IB, APなど)を基準に合否を判断します。
  • 国内大学(ごく少数):一般入試、推薦、AO入試など、あらゆる受験方法が選択可能です。近年は「グローバル校」の台頭により、国内大学と海外大学の両方を視野に入れた進路指導も増えています。

関連記事:

  1. 【2025年版】海外トップ大学への進学実績で選ぶ!日本のインターナショナルスクール9選
  2. 日本の大学 英語学位プログラム徹底解説(2025-2026年度版)

まとめ

日本の学校からインター校へ移ることは、「どの学校を選ぶか」ではなく、「どの教育システム(と、その先にある進路)を選ぶか」という、ご家庭の教育哲学に関わる重大な「決断」です。まずはこの「全体像」を理解した上で、ご家庭の方針と、お子さまの将来像をじっくりと話し合ってみてください。

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