WIDAテスト徹底解説ガイド:ACCESSの試験内容、具体的な問題例、公式練習リソース
- egcisjp
- 5 時間前
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アメリカの公立学校やインターナショナルスクールへの入学・編入を考える際、多くの保護者の方が「WIDA(ウィダ)テスト」という言葉を耳にします。
WIDAは、単なる英語の試験ではなく、英語を母国語としない生徒(ELs: English Learners)の「学術的な英語力」を測るための、非常に重要な評価システムです。
1. WIDAとは何か?
まず知っておくべきことは、WIDAは「テストの名前」である前に、「教育コンソーシアム(共同事業体)」の名前であるということです。
WIDAコンソーシアムは、ウィスコンシン大学マディソン校によって管理されており、英語学習者(ELs)を支援するための、以下のような一連のツールや基準を作成・提供しています。
英語能力開発基準(ELD Standards)
各種アセスメント(テスト)
教員向けの専門研修
これらは、米国の連邦法(ESSA: すべての生徒の成功法)や公民権法に基づき、州や学校が英語学習者(ELs)に対して適切な教育機会を提供する義務を果たすために使われています。
なお、WIDAは本来アメリカ向けの制度ですが、アメリカへの移住や転校を考えている家庭や、日本国内の米国系インターナショナルスクールでは、入学審査や英語レベル判定のために採用されることがあります。
WIDAの主なアセスメント(テスト)
WIDAは、目的に応じて複数のテストを提供しています。
WIDA Screener (スクリーナー) (K-12)
目的: 生徒が「英語学習者(EL)」に該当するかどうかを識別(Identify)するための初期テスト。
学校に入学・転入する際に、家庭での使用言語調査(Home Language Survey)に基づき、英語のサポートが必要か判断するために使われます。
WIDA ACCESS (アクセス) (K-12)
目的: 既に「EL」と識別された生徒の、年間の英語力(ELP)の伸びを測定する年次総括評価(Summative Assessment)です。
これが一般に「WIDAテスト」と呼ばれる、最も主要なテストです。 毎年1回(通常、冬から春)実施が義務付けられています。
WIDA Alternate ACCESS (代替アクセス) (K-12)
目的: 重度の認知障害があると特定された英語学習者(ELs)のための、代替となる年次評価テストです。
2. 申込み方法 (受験対象者とプロセス)

ここがEikenやTOEFLと決定的に違う点です。
WIDA ACCESSは、個人が「英検を受けよう」と自由に申し込むテストではありません。
これは、米国の公立学校制度(またはWIDAを採用しているインターナショナルスクール)において、特定の条件を満Tした生徒が受ける義務のあるテストです。
受験までの一般的な流れ (米国の公立学校の場合)
入学・転入: 地域の公立学校に新しく入学(または転入)します。
家庭内言語調査 (Home Language Survey): 登録時に「家庭で英語以外の言語を使用していますか?」といった調査票に記入します。
WIDA Screenerの実施: 調査票で「英語以外」と回答した場合、学校は生徒の英語力を測るために「WIDA Screener」を実施します。
「EL」の認定: Screenerの結果が、州の定める英語力基準に達していない場合、その生徒は「英語学習者(EL)」として正式に認定されます。
WIDA ACCESSの受験義務: 一度「EL」と認定されると、その生徒は英語力が「堪能(Proficient)」レベルに達するまで、毎年1回「WIDA ACCESS」テストを受けることが法律で義務付けられます。
保護者や生徒が「申し込む」ものではなく、学校(学区)が生徒を登録し、実施します。
3. 試験内容と構成 (WIDA ACCESS)
WIDA ACCESSは、生徒が学校生活や教科学習で成功するために必要な「アカデミック・イングリッシュ(学術的な英語力)」を測定します。
4つの測定領域 (4 Domains)
テストは以下の4つの言語領域で構成されています。
Listening (聞く)
Reading (読む)
Writing (書く)
Speaking (話す)
テスト形式
学年クラスター(学年のまとまり)によって、テストの形式が異なります。
Kindergarten (幼稚園):
完全に紙と鉛筆(Paper/Pencil)形式です。
試験官と1対1で実施されます。
Grades 1-12 (小学1年〜高校3年): オンライン (ACCESS Online)で実施されます。
【重要】Grades 1-3 の Writing:1年生から3年生までは、他の領域(L/R/S)をオンラインで受験する場合でも、Writing領域のみ紙と鉛筆の形式で実施されます。
試験時間 (ACCESS Online の目安)
まず、大前提として WIDAは「時間が来たら終了」のテストではありません。 生徒は自分のペースで進めることができます。ただし、学校側がスケジュールを組むため、以下の「おおよその目安時間」が設定されています。
Listening (聞く): 約 40分
Reading (読む): 約 45分
Speaking (話す): 約 35分
Writing (書く): 約 65分
これらはあくまで目安であり、生徒の習熟度や学年によって変動します。
4. 具体的な問題例
Speaking (話す)
Grade 6-8:
提示物:A "graph" or "data table" related to climate change.
指示(音声): "Please 'summarize' the information shown in this graph. What 'trend' do you see?"
Listening (聞く)
Grade 2:
先生の音声:"Tomorrow, we are going on a field trip to the park. Look at this map of the park. The entrance is on the south side of the park."
質問: (While looking at a picture of the map) "Where will the class enter the park?"
Grades 9-12:
先生の音声: "This graph shows the pricing structure for three different ticket packages. The X-axis represents the number of tickets, and the Y-axis represents the total cost. Look at the 'slope' of the lines..."
質問: "According to the teacher's explanation, which package has the steepest 'slope'?"
Reading (読む)
Grades 2-3: Fun at the School Fair

Grades 4-5: Let’s Go Shopping

Writing (書く)
Grade 1: Making a Card

Grade 9-12: Indus Valley


5. サンプルテストと練習リソース (公式)
WIDAとテスト実施機関であるDRCは、生徒が本番前にテスト形式に慣れるための、非常に充実した練習ツールを無料で公開しています。これらを使わない手はありません。
以下のリンク(DRCの公式WIDAポータル)から、誰でもアクセス可能です。
公式練習ポータル: DRC WIDA Practice Portal
このポータルには、主に3種類の練習ツールがあります。
1. Test Demo (テストデモ)
内容: テストプラットフォームの使い方や機能(ツールの使い方、サインインの方法など)を動画で学ぶことができます。
目的: テストの操作方法を視覚的に理解する。
2. Test Practice (テストプラクティス)
内容: 実際のテスト環境に入り、プラットフォームの操作(ドラッグ&ドロップ、録音ボタンなど)を生徒自身が試すことができます。
目的: ツールの使い方に「手を慣らす」こと。問題の難易度は本番とは関係ありません。
リンク: DRC WIDA Test Practice (Online Tools Training)
(上記リンク内の「Test Practice」アイコンから入ります)
3. Sample Items (サンプルアイテム)
内容: 学年クラスター(Grade-Cluster)別、領域別に、本番のテストで出題されるものと非常によく似た形式・難易度の問題を体験できます。
目的: これが最も重要な対策ツールです。生徒がどのような問題に直面するかを具体的に知ることができます。
(上記リンク内の「Sample Items」アイコンから入ります)
まとめ
WIDAは、英語学習者(ELs)が学校の授業に十分についていけるだけの「学術的な英語力」を持っているかを測るための、包括的な評価システムです。そのWIDA ACCESSテストは、米国の学校で「英語学習者(EL)」と認定された生徒が、年に一度受けることを義務付けられている学力評価です。このテストは、日常会話ではなく、算数・理科・社会といった「授業のための英語力」(アカデミック・イングリッシュ)を、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4技能で測定します。対策としては、DRCが提供する公式の無料練習ツール(Sample Itemsなど)を使い、教科の語彙やテスト形式に慣れることが最も重要です。
EGCIS (インターナショナル専門塾)では、こうした専門的なWIDA対策はもちろん、米国の学校への出願書類(エッセイ)の添削、英語面接の準備、さらには入学後の学習サポートまで、インター校進学を幅広く支援しています。
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