早稲田大学 基幹理工学部(FSE)英語学位プログラム(EBSE)とは?出願・学費・カリキュラムを徹底解説
目次
はじめに
早稲田大学は6つの学部で英語のみによる学位取得プログラム(EDP: English Degree Program)を提供しています。これまでSILS(国際教養学部)、SPSE(政治経済学部)、TAISI(社会科学部)、JCulP(文化構想学部)と紹介してきましたが、今回取り上げるのは早稲田大学 理工学術院のうち「基幹理工学部(School of Fundamental Science and Engineering、以下FSE)」が提供する英語学位プログラムです。理工系のEDPは文系のEDPと異なり、数学科(Mathematical Sciences)と情報理工学科(Computer Science and Communications Engineering)という2つの専攻から構成されています。本記事は早稲田大学理工学術院公式サイト(waseda.jp/fsci)、基幹理工学部公式サイト(fse.sci.waseda.ac.jp)、情報理工学科公式サイト(csce.waseda.ac.jp)に掲載されている情報のみに基づいて執筆しています。
1. 早稲田大学理工学術院と基幹理工学部について
早稲田大学は1908年、日本の私立大学として初めて理工学部を設立しました。創設者・大隈重信の「理学と工学を横断する幅広い教育研究を行いたい」という思いから生まれたこの学部は、それから100年以上を経て、日本を代表する理工系教育の拠点のひとつへと発展しました。
現在、早稲田大学理工学術院は3つの学部(基幹理工学部・創造理工学部・先進理工学部)と6つの大学院から構成されています。それぞれが独自の特色を持ちながら連携し、グローバル社会や産業界の急速な変化に対応できる科学者・エンジニア・研究者を育成しています。
| 項目 | 内容 |
| 理工学部設立年 | 1908年(日本の私立大学で初) |
| 現在の学部数 | 3学部(基幹理工学部・創造理工学部・先進理工学部) |
| 大学院数 | 6大学院 |
| 早稲田大学の国際学生数 | 5,400名以上(日本国内の大学で最多) |
| 海外協定校数 | 640校以上、85の国と地域 |
2. 英語学位プログラム(EBSE)とは
早稲田大学理工学術院は2010年、日本で最も早く「英語のみで学位を取得できる国際プログラム」を導入した教育機関のひとつとなりました。その後2018年4月に、新分野の追加や教員数の増強を伴う形でプログラムが再編され、現在の「英語学位プログラム(EBSE: English-based Undergraduate Program in Science and Engineering)」に至っています。
このプログラムは基幹理工学部・創造理工学部・先進理工学部の3学部にまたがっていますが、先進理工学部については2023年度入学以降、英語学位プログラムのAO入試(9月入学)の募集が停止されています。そのため、現在英語学位プログラムとして出願可能なのは、基幹理工学部と創造理工学部の2学部のみです。
基幹理工学部の英語学位プログラムには、以下の2つの専攻があります。
| 専攻名 | 授与される学位 |
| 数学科(Mathematical Sciences, MS) | 学士(理学)または学士(工学) |
| 情報理工学科(Computer Science and Communications Engineering, CSCE) | 学士(工学) |
3. 2つの専攻の詳細
数学科(Mathematical Sciences, MS)
数学科は、基礎数学から応用数学まで幅広いカリキュラムを提供する専攻です。数学そのものの知識だけでなく、科学・工学分野とのつながりを理解し、社会に貢献できる数学的スキルを身につけることを目標としています。特に以下の3分野に重点を置いています。
- 非線形数学(Nonlinear Mathematics)
- 計算数学(Computational Mathematics)
- 統計数学(Statistical Mathematics)
カリキュラムの特徴:
- 1年次:数学・自然科学・情報科学など理工学全般の基礎科目に加え、語学・教養科目を履修
- 2年次以降:代数学・幾何学・解析学といった純粋数学の基礎科目と、統計学・数値解析といった応用数学の基礎科目を履修
- 3年次以降:非線形解析・計算数学・統計数学、または代数学・幾何学といった分野から、自分の関心に応じて科目を選択
- 4年次:研究室に配属され、指導教員のもとで卒業研究に取り組む
- 少人数制のクラス編成により、学生同士・学生と教員の間で活発な議論ができる環境を重視
情報理工学科(Computer Science and Communications Engineering, CSCE)
情報理工学科は、コンピュータサイエンス・コンピュータ工学・通信工学を横断し、高度化する情報通信社会に対応するための知識と技術を習得する専攻です。カリキュラムはIEEE/ACMのComputing Curricula 2013に準拠した国際基準で設計されています。
必修科目(一例):
| 科目名 | 開講時期 | 対象学年 |
| Fundamentals of Programming | 春クォーター | 1年次 |
| Computer Architecture | 秋学期 | 2年次 |
| Logic Circuit | 秋学期 | 2年次 |
| Algorithms and Data Structures | 春学期 | 2年次 |
| Information Network Systems A | 秋学期 | 3年次 |
| Graduation Thesis A・B | 秋・春学期 | 4年次 |
このほか、Artificial Intelligence、Databases、Software Engineering、Computer Vision and Pattern Analysisなど、幅広い制限選択科目・選択科目が用意されており、卒業後の進路もソフトウェア、電気機械、通信、放送、ICTサービスなど多岐にわたります。
4. 教育方針(3つのポリシー)
基幹理工学部の英語学位プログラムは、以下の3方針(ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシー)に基づいて運営されています。
ディプロマ・ポリシー: 数学科・情報理工学科のいずれかに所属し、必修科目・専門科目・卒業に必要な単位数を満たすことで学位を取得します。副専攻(マイナー)を修了した学生には、その旨の認定が付与されます。
カリキュラム・ポリシー: 両専攻とも国際水準のカリキュラムを提供し、副専攻の履修による専門知識の深化・拡大も可能です。英語力向上・海外留学を志向する学生向けの語学科目と、日本語力・日本文化理解を深めるための語学科目の両方が用意されています。
アドミッション・ポリシー: 「学問の独立を守る」という早稲田大学の建学の精神に基づき、日本国内外から高度な知識の習得を志す学生を広く受け入れます。英語で理工系カリキュラムを学修できる能力に加え、高校卒業程度の基礎学力、コミュニケーション能力なども選考の際に考慮されます。
5. 出願資格・入試スケジュール
基幹理工学部の英語学位プログラムは、日本以外の教育制度で12年間の課程を修了した学生を対象としたAO入試(9月入学)を実施しています。
2027年9月入学の入試スケジュール(本記事執筆時点である2026年7月現在、次回の出願サイクルとして公式サイトに掲載されている最新情報):
| 項目 | 日程 |
| 出願期間 | 2027年1月7日〜1月28日 |
| 書類選考結果発表 | 2027年4月9日 |
| 面接選考 | 2027年4月17日または18日 |
| 最終合格発表・補欠者発表 | 2027年4月23日 |
| 繰り上げ合格発表 | 2027年5月24日 |
募集人数(2027年9月入学):
| 学部 | 募集人数 |
| 基幹理工学部 | 30名 |
| 創造理工学部 | 30名 |
※選考方法は書類選考+面接です。 ※この募集人数は各学部全体(複数専攻合算)の人数として公式サイトに掲載されています。専攻ごとの内訳は明記されていないため、正確な情報は必ず出願要項でご確認ください。 ※2026年9月入学(1つ前のサイクル)は、2026年1月7日〜2月10日に出願受付が行われ、2026年4月に書類選考結果、5月に繰り上げ合格発表が行われました。本記事執筆時点ではこのサイクルはすでに終了しています。
6. 出願書類
出願にあたっては、以下のような書類が必要です(詳細は必ず最新の出願要項でご確認ください)。
- 卒業証明書(卒業見込証明書)
- 成績証明書
- 標準テストスコア(教育制度により異なる。台湾のGSAT、シンガポールのGCE A-Levelなど個別の案内あり)
- 推薦状(Letter of Recommendation)および推薦者向け記入要領
- 志望理由書
- 選考料減免制度を利用する場合の申請書(Application Form for Screening Fee Waiver Program)
- 評価シート(Evaluation Sheet)
- オンライン出願システム「TAO(The Admissions Office)」を通じた出願手続き
7. 学費
早稲田大学の英語学位プログラムの学費は、全学共通のPDF資料に学部ごとの内訳が掲載されています。基幹理工学部の場合は以下の通りです。
| 項目 | 金額 |
| 入学金 | 200,000円 |
| 授業料(年額) | 1,584,000円 |
| 実験実習費 | 72,000円 |
| 学生健康保険互助組合費 | 3,000円 |
| 初年度納入金合計 | 1,859,000円 |
| 2〜4年次の年間学費(公式資料記載額) | 1,784,000円 |
※学費は前期・後期の年2回に分けて納入します。入学年度は入学金と前期分の学費を入学手続き時に納入する必要があります。 ※実験実習費等の一部項目は、公式資料内で「AY2025(2025年度)の参考額であり、AY2026(2026年度)分は未確定」と注記されています。正確な金額は入学手続き案内で必ずご確認ください。 ※4年次後期には、卒業生団体費として10年分の40,000円が別途必要です。
8. 奨学金
理工学術院独自の奨学金の詳細は、早稲田大学国際教育センター(CIE)のウェブサイトに掲載されています。
- 早稲田大学が提供する奨学金は20種類以上、外部団体が提供する奨学金は100種類以上
- すべて給付型(返済不要)
- 入学前に決定する特別奨学金と、入学後に出願する奨学金の両方が存在
- 国際学生の約40%が何らかの奨学金を受給
- フルカバー(学費全額+生活費)のJASSO奨学金は大学院生のみが対象
9. 学部間・専攻間の転部・転科制度
早稲田大学の英語学位プログラムには、EBSE内での学部・専攻間の転部試験制度があります(2026年度の場合、出願期間2026年7月13日〜17日、面接2026年8月28日、結果発表2026年9月1日)。ただし、以下の点に留意が必要です。
- 他大学からの編入学・単位認定は一切受け付けていない
- 早稲田大学内でも、理工学術院以外の学部からの転部・単位認定は不可
- 英語学位プログラムに入学した学生は全員、1年次から4年間のカリキュラムを完了する必要がある
- 転部先はEBSEに参加している学部・専攻に限られる
10. 卒業後の進路
理工学術院は学部から大学院までの一貫教育を特色としており、多くの卒業生が大学院に進学して専門性を深めています。情報理工学科(CSCE)の卒業生の進路は、ソフトウェア業界、電気機械業界、通信業界、放送業界、ICTサービス業界など幅広く、数学科(MS)の卒業生も数理的思考力を活かして多様な分野に進んでいます。
おわりに
早稲田大学基幹理工学部の英語学位プログラムは、数学科・情報理工学科という理系分野に特化しつつ、国際水準のカリキュラムと少人数教育を両立させたユニークなプログラムです。理数系に強みを持ち、将来グローバルに活躍するエンジニアや研究者を目指す受験生にとって、有力な選択肢のひとつといえるでしょう。
次回は、早稲田大学理工学術院のもうひとつの英語学位プログラムである創造理工学部(機械科学・社会環境工学)について、同様の形式で詳しく解説していく予定です。
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