TMUAスタイル例題を解いてみよう
目次
はじめに
イギリスの一流大学で数学・経済学・コンピュータサイエンスなどの学部を目指す場合、UCAS出願書類だけでは入学審査が十分に行われないことがあります。そこで重要になるのが TMUA(Test of Mathematics for University Admission)、日本語で「大学数学入試試験」です。
TMUAのPaper 2「Mathematical Reasoning」は、Paper 1の「知識の応用」とは異なり、純粋な論理的思考力そのものを問う問題が並びます。中でも受験生の正答率が大きく落ち込むことで知られるのが、2019年に出題されたPaper 2のある一問です。数式の計算力は一切問われないにもかかわらず、多くの受験生が誤答を選んでしまう、TMUA特有の「論理の罠」が詰まった良問です。本記事では、この問題を題材に、なぜ間違えやすいのか、そしてどう考えれば正解にたどり着けるのかを丁寧に解説します。
問題:2019年TMUA Paper 2 より
英語の試験なので、まずは原文のまま問題を確認しましょう(2019年TMUA Paper 2からの出題です)。
A multiple-choice test question offered the following four options relating to a certain statement:
A The statement is true if and only if x > 1
B The statement is true if x > 1
C The statement is true if and only if x > 2
D The statement is true if x > 2
Given that exactly one of these options was correct, which one was it?
一見すると、文の具体的な中身やxの正体が分からなければ解けないように見えます。しかし実際には、この問題は文の中身にもxの値にも一切触れることなく、選択肢どうしの論理的な関係だけから答えを一意に決定できるように作られています。ここに気づけるかどうかが、この問題の最大のポイントです。
「if」と「if and only if」の違い
この問題を解くカギは「if」と「if and only if」の違いを理解しているかどうかです。とてもシンプルな話なので、簡単に確認しておきましょう。
- 「Statement is true if x > 1」は、片方向だけの話です。x > 1 のときはstatementが「true」になる、とだけ言っていて、x > 1 でないとき(x ≤ 1)にどうなるかは何も言っていません。
- 「Statement is true if and only if x > 1」は、両方向の話です。x > 1 のときstatementが「true」になるのはもちろん、x ≤ 1 のときは必ず「false」になる、というところまで言い切っています。
つまり「if and only if」は「if」よりも強い・詳しい主張です。もし「if and only if」のほうが正しいなら、その中に含まれている「if」のほうも自動的に正しくなります。逆に「if」が正しいからといって「if and only if」が正しいとは限りません。この非対称な関係が、この問題を解く出発点になります。
この「AならBも正しくなる」「CならDも正しくなる」という関係が、この問題を解く鍵になります。
選択肢を絞り込む:なぜA・B・Cは正解になれないのか
前章で確認した通り、Aが正しいとすればBも自動的に正しくなり、Cが正しいとすればDも自動的に正しくなってしまいます。「正しい選択肢はちょうど1つ」という条件と真っ向から矛盾するため、AもCも正解にはなり得ません。
さらに厄介なのが、BとDのどちらが正しいかという判断です。
BとDの関係を、「数のグループ」として考えると分かりやすくなります。
B :「The statement is true if x > 1」→(1.5、2、3、10、100…など)
D :「The statement is true if x > 2」→( 3、10、100…など)
ここで気づいてほしいポイントはDのグループがBのグループの中にすっぽり収まっているということです(2より大きい数は、必ず1より大きいので)
Dのグループは、Bのグループの中に完全に含まれています。だからこそ、もしBが正しいとすると(The statement is true if x > 1という約束が本当に守られているとすると)、その中に含まれる小さいグループ(x > 2)についても、当然文は真になっているはずです。つまりBが正しければ、Dも自動的に正しくなってしまいます。Bだけが正しくてDが正しくない、ということはあり得ません。
しかし逆は成り立ちません。もしDが正しいとしても、分かるのは「2より大きい数」の範囲だけです。Dは、Bのグループには入っているけれどDのグループには入っていない数——たとえばx = 1.5——について、何も約束していません。だからDが正しいからといって、Bまで正しいとは限りません。Bが正しくなるには、1.5(そして1〜2の間のすべての数)でも文が真である必要がありますが、Dはそこについて何も言っていないからです。
まとめると、B ⟹ D は必ず成り立ちますが、D ⟹ B は保証されません。この非対称な関係のせいで、Bは「Bが正しければ、Dも巻き込んで正しくなってしまう」という理由で候補から消え、Dだけが他を巻き込まずに単独で成立できる、というわけです。
正解
正解はDです。「The statement is true if x > 2」という選択肢だけが、他の選択肢を巻き込むことなく単独で「ちょうど1つ正しい」という条件を満たせます。
おわりに:EGCISのご紹介
TMUAのPaper 2は、今回のような論理パズル的な問題が繰り返し出題されるため、公式の過去問だけでなく、同じ発想パターンの問題に数多く触れておくことが得点力アップの近道です。
EGCISでは、インターナショナルスクール生の海外大学進学に精通した講師陣が、TMUA・ESATといった専門アドミッションテスト対策から、実践的な模擬面接まで一貫してサポートしています。また、公式過去問の出題傾向を徹底的に分析したEGCISオリジナルの模擬試験もご用意しており、本番を見据えた実践的な対策が可能です。TMUAの受験をご検討中の方は、ぜひ無料体験レッスンでEGCISの指導をご体感ください。
本記事で紹介した問題文は、2019年のTMUA Paper 2からの引用です。実際の出題形式や過去問については、UAT-UKの公式サイトで公開されている過去問を必ずご確認ください。

