慶應義塾大学 総合政策学部・環境情報学部 GIGA(Global Information and Governance Academic Program)徹底解説
目次
はじめに
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)が提供する「GIGA(Global Information and Governance Academic Program)」は、総合政策学部・環境情報学部の両学部にまたがる、4年間完全英語の学士課程プログラムです。日本語力ゼロ・来日不要でオンライン出願が完結し、しかもGIGA出願者限定の給付型奨学金(フルライド含む)まで用意されているという、国際生にとって非常に間口の広いプログラムです。
この記事では、GIGAのプログラム概要、カリキュラム、出願方法、学費、奨学金、学生寮に至るまで、慶應義塾大学の公式サイト・公式PDFの情報のみをもとに、できる限り詳しく・正確にまとめました。
なお、本記事は2026年7月時点で慶應義塾大学の公式サイトに掲載されている情報をもとに作成しています。出願要項や日程は年度によって変更されるため、実際の出願の際は必ず最新の公式情報をご確認ください。
1. GIGAとは何か
GIGAは、1990年に開設された慶應義塾大学5番目のキャンパスである湘南藤沢キャンパス(SFC)で、総合政策学部(Faculty of Policy Management)と環境情報学部(Faculty of Environment and Information Studies)が共同で提供する英語ベースの学士課程プログラムです。慶應公式サイトでは次のように説明されています。
Opened in 1990 as Keio’s fifth campus, Shonan Fujisawa Campus (SFC) offers the GIGA program through the Faculties of Policy Management and Environment and Information Studies. Students can study in both English and Japanese, taking courses across both faculties to resolve complex issues by integrating technology, science, design, business, innovation, international relations, and policy.
GIGAの7つの特徴(公式サイトより)
- 日本のトップ私立大学における4年間英語ベースの学士プログラム
- 2つの学部にまたがる多様で学際的な研究分野
- 英語だけでなく日本語も学べる(開講科目600以上のうち約20%が英語開講。全て英語で学位取得可能だが、英語サポート付きの日本語授業も履修可能)
- 出願に日本語力も来日も不要(完全オンライン出願)
- GIGA国際生限定のフルライド奨学金(入学前に応募可能)
- 世界トップクラスの大学への留学機会
- 学生寮を含む安全で国際色豊かなキャンパス
基本情報一覧
| 項目 | 内容 |
| プログラム名 | Global Information and Governance Academic Program(GIGA) |
| 設置学部 | 総合政策学部/環境情報学部(湘南藤沢キャンパス=SFC) |
| 取得学位 | 総合政策学部:Bachelor of Arts (B.A.) in Policy Management<br>環境情報学部:Bachelor of Arts (B.A.) in Environment and Information Studies |
| 修業年限 | 4年(必要単位124単位以上。優秀な学生は早期卒業制度の利用も可) |
| 授業言語 | 英語(日本語科目の履修も可能・必須ではない) |
| キャンパス | 湘南藤沢キャンパス(SFC)/東京都心から電車で約90分 |
| 入学時期 | 9月または4月(出願区分により異なる) |
| 選考方法 | 書類選考のみ(面接・来日不要、完全オンライン出願) |
| 学部の教員数(専任) | 総合政策学部44名/環境情報学部46名(2023年4月時点) |
| 学年ごとの学生数 | 両学部とも425名程度(2023年4月時点) |
出典:GIGA: English-based BA Degree Program、GIGA Program – GIGA KEIO UNIVERSITY SFC、Curriculum | PMEI
2. 学部・カリキュラムの特徴
2-1. 総合政策学部(Faculty of Policy Management)
「政策」を「人が行動を起こすための選択と決断」と捉え、学際的・横断的な視点から現実社会の課題を解決する政策立案能力を養うことを目的とした学部です。
2-2. 環境情報学部(Faculty of Environment and Information Studies)
先端の科学技術・デザインを人文社会科学と柔軟に融合させ、地球・自然・生命・人間・社会を理解し、未解決の課題に解決策を生み出すことを目的とした学部です。「環境と情報の世紀」のグローバルリーダーを育てるとしています。
2-3. SFC教育の最大の特徴:学年に縛られない自由な履修
SFCのカリキュラムは、他の多くの日本の大学のように学年ごとに履修内容が固定されておらず、学生が興味に応じて自由に科目を選択できるのが最大の特徴です。1年生であっても、SFCの研究活動の中核である「研究会(ケンキュウカイ)」に参加することが可能です。また、総合政策学部・環境情報学部両方の授業・研究会を履修できる点もSFCならではの特徴です。
カリキュラムは大きく「基盤科目(Fundamental Subjects)」と「先端科目(Advanced Subjects)」に分かれています。
- 基盤科目:外国語(11言語:英語、マレー・インドネシア語、アラビア語、スペイン語、韓国語、ドイツ語、フランス語、中国語、日本語、ロシア語、イタリア語)、データサイエンス、情報技術の基礎、ウェルネス科目など、全学生に必要な土台となる科目群。
- 先端科目:研究会・卒業プロジェクトに向けた専門性の高い科目群。
2-4. 研究会(Kenkyukai)と卒業プロジェクト
研究会は、原則2年次から履修可能(優秀な1年生も履修できる場合あり)で、春学期・秋学期それぞれ最大6単位まで登録可能です。企業との共同研究や官公庁からの委託研究など、実践的な研究活動を通じて「実践知」を身につけることを重視しており、SFC教育の中核と位置づけられています。最終的には、卒業論文または作品として「卒業プロジェクト」にまとめます。
2-5. 日本語学習とGIGA Certificate
日本語科目の履修は卒業要件ではありませんが、SFCでは1,000以上の科目が日本語で開講されているため、履修の幅を広げるために日本語学習が強く推奨されています。多くの国際学生は入学直後から日本語学習を始め、4年間継続することでN2レベルの日本語力を身につけられるようカリキュラムが設計されています。所定の単位取得と外国語要件を満たすことで「GIGA Certificate」を取得することも可能です。
出典:Curriculum | Faculty of Policy Management / Faculty of Environment and Information Studies、GIGA Program
3. 研究分野(Fields of Research)
公式資料「Get to Know GIGA」によると、両学部の研究分野は以下のように整理されています。
総合政策学部
| 分野 | 内容例 |
| 国際戦略 | 複雑化する世界を読み解く、地域戦略、外交・安全保障 |
| 社会イノベーション・経営・組織 | 経営戦略とスタートアップ、組織マネジメントと経営情報システム、ソーシャルビジネス・NPO・NGO |
| 政策マネジメント研究の方法論 | 認識論的視座から設計科学へ、研究と実践を組み合わせた社会変革 |
| 政策デザイン | 政策研究の方法論、経済と金融、政策立案と法制度 |
| 言語・文化・コミュニケーション | 言語による表現・伝達・意味形成、言語教育と言語政策、言語と文化・社会の関係 |
環境情報学部
| 分野 | 内容例 |
| 先端情報システム | インターネットシステムとアプリケーション、ユビキタス情報システム、計算基盤、知識情報システム |
| 環境デザイン | 建築・環境デザイン、地域環境デザイン、都市環境デザイン、グローバル環境デザイン |
| 先端デザイン研究 | デジタルファブリケーションとアルゴリズミックデザイン、アート・ランドスケープ・コミュニケーション |
| 人間環境 | 言語認知と言語学習、メンタルヘルス科学、社会とコミュニティ |
| 先端生命科学 | 先端健康科学、システム生物学、システム医学、環境生命科学 |
出典:Get to Know GIGA 2026(公式PDF)
4. 出願方法(Winter AO)
GIGAへの出願は、海外在住者向けの「Winter AO」という選考区分を通じて行うのが基本です(国内の在外・帰国生などが対象のSpring/Summer/Fall AOは、日本国内での対面面接が必要になります)。
4-1. Winter AOの特徴
- 出願書類はすべてオンライン提出。面接・来日は不要。
- 出願プロセスはすべて英語で実施。
- 総合政策学部・環境情報学部ともに編入学は受け付けていません。
- 9月入学を予定する出願者は、出願と同時にGIGA国際生限定の奨学金にも応募可能。
4-2. 出願スケジュール
直近に実施されたWinter AO 2025(2026年9月/2027年4月入学向け)
| 項目 | 日程(日本時間) |
| 出願期間 | 2025年12月9日 11:00 〜 2026年1月23日 15:00 |
| 出願料支払期間 | 2025年12月9日 11:00 〜 2026年1月23日 23:00 |
| 合格発表 | 2026年3月13日 11:00 |
次回サイクル(2027年9月/2028年4月入学向け・公式PR資料ベース)
慶應公式の広報資料「Get to Know GIGA」によると、次の出願サイクルの目安は以下の通りです(正式な出願要項は別途公開されるため、必ず公式サイトで最新情報を確認してください)。
| 項目 | 目安時期 |
| 出願期間 | 2026年12月 〜 2027年1月 |
| 合格発表 | 2027年3月 |
| 入学時期 | 2027年9月 または 2028年4月 |
4-3. 出願に必要な書類・スコア
| 区分 | 内容 |
| 標準テストスコア | IB、SAT、ACT、GCE(Aレベル)など。提出は必須ではないが強く推奨(公平な評価のため)。最低スコア基準は設けられていません。 |
| 英語力証明 | TOEFL iBT(Special Home Edition/Paper Editionを含む)、IELTS(Indicatorを含む)、TOEIC、英検、UNATEなど。第一言語が英語、または出身高校の授業言語が英語の場合は提出不要。 |
| その他必要書類 | エッセイ(800語程度)、プレゼンテーションスライド、3分間のプレゼンテーション動画、成績証明書、推薦・評価フォーム、活動歴のリストなど |
| 出願資格の目安 | 12年以上の正規教育を修了しており、中等教育の直近3年のうち2年以上が日本語以外の言語で行われていること など |
出典:Admissions Procedures for Winter AO 2025 (the GIGA Program)、Get to Know GIGA 2026(公式PDF)
5. 学費
慶應公式資料によると、総合政策学部・環境情報学部(GIGAを含む)の学費は以下の通りです(2026年度入学者、1ドル=150円換算は公式PR資料内の参考レート)。
| 年次 | 金額(円) | 参考:米ドル換算 |
| 1年次(入学金含む) | 1,781,350円 | 約11,880ドル |
| 2年次以降 | 1,581,250円 | 約10,540ドル |
1年次の内訳(総合政策学部の例)
| 項目 | 金額 |
| 入学金 | 200,000円 |
| 在籍基本料 | 70,000円 |
| 授業料 | 1,170,000円 |
| 施設設備費 | 330,000円 |
| 学会資料購読料等 | 8,000円 |
| 自治会費 | 750円 |
| 学生健保 | 2,600円 |
| 合計 | 1,781,350円 |
学費は春学期・秋学期の年2回に分けて納入可能です。在籍基本料・授業料・施設設備費等は、在学中スライド制(物価・給与動向等に応じた改定)が適用される場合があります。
出典:Undergraduate Academic Fees、Get to Know GIGA 2026(公式PDF)
6. 奨学金
GIGAの大きな特徴の一つが、入学前(出願時)に応募できる国際生限定の奨学金です。GIGA出願と同時に応募でき、追加書類も面接も不要で、GIGAの選考結果と同時に採否が通知されます(複数の奨学金に応募できますが、採用される場合は1つのみ)。
入学前に応募できる奨学金(Winter AO 2025時点)
| 奨学金名 | 枠数 | 内容 |
| 日本政府(MEXT)奨学金 | 6名 | 出願料・入学金・学費・生活費(月額目安1,000ドル)・渡航費を、最長4年間支給 |
| Yoshiaki Ishii Scholarship | 2名 | 1年次:入学金・学費を支給/2年次以降:年間100万円を支給、最長4年間 |
| MASATADA KOBAYASHI Scholarship for International Students | 1名 | 入学金・学費を最長4年間支給 |
| Mentor Mitakai Scholarship for International Students | 1名(2026年9月入学向け) | 入学金・初年度学費を支給。毎年の審査により最長4年間まで更新可能 |
- 対象は、Winter AO 2025(GIGA Program)選考に合格し、2026年9月入学を予定する新1年生の外国籍者に限られます(永住者・特別永住者・日本人配偶者等・永住者配偶者等・定住者の在留資格保持者は対象外)。
- 応募はオンライン出願システムを通じて、GIGA出願と同時にのみ可能です(入学後の応募は不可)。
入学後に応募できる主な奨学金
| 奨学金名 | 支給額 | 期間 |
| JASSO 私費外国人留学生学習奨励費 | 月額48,000円 | 1年(毎年応募可) |
| 慶應義塾大学奨学金(2年次以上対象) | 年額25万円または50万円 | 1年(毎年応募可) |
| 慶應義塾大学学位取得奨励金 | その年度の学費相当額(平均30万円)以内 | 1年 |
| 山岡兼一記念奨学金(1年次対象) | 年額90万円 | 1年 |
| 山岡兼一記念奨学金(2年次以上対象) | 年額50万円 | 1年 |
| ゴールドマン・サックス奨学基金 | 年額50万円 | 1年 |
このほか、民間団体・地方自治体による奨学金も約100種類あり、月額1万円〜18万円程度の支給があります。
出典:Financial Aid – Undergraduate (PMEI)、Mentor Mitakai Scholarship for International Students(公式PDF)
7. 学生寮(H Village)
SFCキャンパス内には、2023年に開設された新しい学生寮「H Village」があります。
- 1ユニット5名(男女別ユニット)で構成され、各ユニット内に個室5部屋と、リビング・シャワールーム・トイレ・洗面台などの共有スペースがある。
- 個室にはベッド・デスク・クローゼット・エアコンなどが備え付けられており、すぐに新生活を始められる設計。
- 月額費用:通常109,250円(約825ドル)。国際学生は30%の補助により月額78,000円(約590ドル)(2026年4月時点)。
- 食事・電気・水道・インターネット利用料込み。
出典:Get to Know GIGA 2026(公式PDF)
おわりに
GIGAは、日本語力・来日実績を問わず、慶應義塾大学という日本トップクラスの大学で、政策・テクノロジー・デザインを横断的に学べる非常にユニークなプログラムです。標準テストスコアの提出が必須ではない点、面接・来日不要で完全オンライン出願が完結する点、そして入学前から応募できる充実した奨学金(フルライドのMEXT奨学金を含む)が用意されている点は、他大学のプログラムと比べても大きな特徴といえます。
一方で、標準テストスコアが必須でない分、エッセイ・プレゼンテーション動画・活動歴といった書類の完成度が合否を大きく左右します。また出願は年1回のWinter AOが中心となるため、スケジュール管理と準備の早期スタートが欠かせません。
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