「英語は話せるのに落ちる」インター受験で起きる意外な理由
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「海外で暮らしていたから英語はペラペラ」「インターの幼稚園に通っていたから大丈夫」と思っていたのに、インターナショナルスクール(以下、インター)の入試で不合格になってしまった。そんな声は、実は珍しくありません。英語が話せることは大きな強みですが、それだけで合格できるとは限らないのがインター受験の難しいところです。この記事では、帰国子女やプリスクール(インター幼稚園)出身の子どもがつまずきやすいポイントを、わかりやすく解説します。
※入試の内容や評価の方法は、学校や学年によって大きく違います。必ず志望校の公式サイトや説明会で、最新の入試情報を確認してください。
帰国子女やインター幼稚園出身者でも不合格になる理由
インターの入試では、英語での会話力だけでなく、次のようなさまざまな点が見られることが多くあります。
- 英語で教科の勉強についていけるか(読む力・書く力)
- 学年に合った学力があるか(算数・数学など)
- 授業中の態度や、ほかの子どもとの関わり方
- 家庭の教育方針が学校の考え方と合っているか
人気の高い学校では、募集人数に対して多くの応募があり、英語が話せる子ども同士で比べられることになります。その中で差がつくのは、「話す力」以外の部分です。英語が話せることで安心してしまい、ほかの対策がおろそかになることが、不合格の大きな原因になりやすいのです。ここからは、よくある4つの理由を見ていきましょう。
理由1:日常会話(BICS)とアカデミックな英語(CALP)のギャップ

「話せる英語」と「勉強できる英語」は違う
言語教育の研究者ジム・カミンズは、言葉の力を大きく2つに分けて考えました。BICSは第二言語での日常会話の力(Basic Interpersonal Communicative Skills)、CALPは教室での勉強のように、状況の手がかりが少ない場面で使う学習のための言葉の力(Cognitive Academic Language Proficiency)を指します。
| BICS(日常会話の英語) | CALP(勉強のための英語) | |
|---|---|---|
| 使う場面 | 友達との会話、遊び、買い物など | 授業、教科書、テスト、レポートなど |
| 特徴 | 表情やジェスチャー、その場の状況が助けになる | 文字や抽象的な内容が中心で、手がかりが少ない |
| 必要な言葉 | 身近な単語や決まった表現 | 教科の専門用語、論理的な表現 |
| 身につくまでの期間(目安) | 約2年 | 5〜7年以上 |
カミンズらの研究では、第二言語を社会生活で使えるようになるまでに平均でおよそ2年かかる一方、同じ年の英語を母語とする子どもと同じレベルの学習言語の力を身につけるには、5〜7年、あるいはそれ以上かかる場合があるとされています。
入試で問われるのは「勉強のための英語」
インターの入試や入学後の授業で必要なのは、主にCALPのほうです。たとえば、次のような力です。
- 教科書のような説明文を読んで、要点をつかむ
- 理由や根拠を示しながら、自分の考えを文章にまとめる
- 算数や理科の英語の専門用語を理解する
- 「比べる」「説明する」「予想する」など、考える作業を英語で行う
海外生活やインター幼稚園の経験で日常会話はとても上手でも、この「勉強のための英語」がまだ育っていないケースはよくあります。会話がスムーズなぶん、周りの大人も気づきにくいのが、この落とし穴の怖いところです。
理由2:Writing・Readingの客観的スコア不足

会話の印象と、テストの点数は別もの
インターの入試では、英語の読解(Reading)や作文(Writing)のテストが行われることが多くあります。また、学年によっては、前の学校の成績表や、外部テストの結果の提出を求められることもあります。面接で楽しく話せても、テストの点数が学年の目安に届かなければ、「入学後に授業についていくのは難しい」と判断される可能性があります。
話せる子がつまずきやすいポイント
日常会話が得意な子どもは、次のような点でつまずくことがよくあります。
| つまずきやすい点 | 具体的な例 |
|---|---|
| つづり(スペル) | 音では知っている単語を、正しく書けない |
| 文法 | 話し言葉のくせが出て、文章では間違いになる |
| 文章の構成 | 思いついた順に書いてしまい、まとまりがない |
| 語彙 | 会話で使う単語は多いが、教科の言葉や書き言葉が少ない |
| 読解 | 物語は読めても、説明文や長い文章になると内容がつかめない |
「なんとなく大丈夫」ではなく、客観的に確認する
こうした弱点は、家庭の中ではなかなか気づけません。特に、子どもが英語で楽しそうに話していると、「英語は問題ない」と思い込んでしまいがちです。大切なのは、学年のレベルに対して、今どのくらい読めて、どのくらい書けるのかを、テストなどで客観的に確認することです。弱点がわかれば、入試までに何を優先して勉強すべきかが、はっきりします。
理由3:態度・行動(Behavior)面の指導不足(面接での姿勢・マナー)

インターは「一緒に学べるか」も見ている
インターの入試では、子どもとの面接や、グループでの活動の様子を見る「アセスメント」が行われることがあります。ここでは英語力だけでなく、「クラスの一員として、ほかの子どもと一緒に学べるか」も見られていると考えておきましょう。
見られやすい態度・行動の例
- あいさつができるか(目を見て「Hello」「Thank you」が言えるか)
- 先生の話を最後まで聞けるか
- 順番を守ったり、ほかの子どもに譲ったりできるか
- わからないときに、自分から質問できるか
- 落ち着いて座り、課題に集中できるか
- 間違えても、あきらめずに取り組めるか
「元気」と「落ち着きがない」は紙一重
英語に自信のある子どもほど、緊張せずにのびのびと話せる反面、相手の話をさえぎったり、ずっと自分の話をしてしまったりすることがあります。家庭では「明るくて元気」と見えても、入試の場では「落ち着きがない」「協調性に不安がある」と受け取られてしまう可能性もあります。面接やグループ活動での振る舞いは、ふだんの生活習慣がそのまま出やすい部分です。入試の直前だけでなく、日ごろから練習しておくことが大切です。
家庭でできる練習
- 自己紹介を練習する:名前、年齢、好きなこと、その理由を英語で言えるようにする
- 「理由をつけて答える」練習をする:「Why?」と聞かれたら、「Because…」で答える習慣をつける
- 相手の話を聞く練習をする:家族の話を最後まで聞いてから話す
- 知らない大人と話す経験を積む:面接の雰囲気に慣れておく
理由4:親の面接(保護者面接)でのミスマッチ

学校は「家庭」も見ている
インターによっては、保護者との面接を行うことがあります。インターでは、学校と家庭が協力して子どもを育てることを大切にしている学校が多いため、「この家庭は学校の考え方を理解し、一緒に協力してくれるか」が確認されることがあります。
ミスマッチと受け取られやすい例
| 保護者の答え方 | 学校にどう伝わる可能性があるか |
|---|---|
| 「英語を身につけてほしいから」だけを理由にする | 学校の教育方針への理解が浅いと思われる |
| 学校の特徴を調べずに面接に臨む | 「どの学校でもいいのでは」と思われる |
| 家庭の教育方針がはっきりしない | 学校と協力して子育てができるか不安に思われる |
| 学校への要望ばかりを話す | 学校との協力関係を築けるか心配される |
| 将来の進路についての考えがない | 長く在籍してくれるか、わかりにくい |
保護者面接の前に準備しておきたいこと
- 学校の教育理念(Mission)や大切にしている価値観を調べておく
- 「なぜこの学校なのか」を、学校の特徴と子どもの性格を結びつけて説明できるようにする
- 家庭で大切にしている教育方針を、夫婦で話し合っておく
- 学校の行事やボランティアなどに、家庭としてどう関わりたいかを考えておく
- 日本語と英語のどちらで話すことになっても対応できるよう、伝えたいことを整理しておく
保護者面接は、子どもの受験と同じくらい大切な場面です。事前にしっかり準備しておくことで、学校との相性の良さを伝えることができます。
まとめ:英語力+αのアカデミック対策で確実に合格を手にする方法
「英語が話せるのに落ちる」理由は、英語の会話力そのものではなく、その「周り」にあることがほとんどです。この記事で紹介した4つの理由を振り返ってみましょう。
| 理由 | 対策のポイント |
|---|---|
| 1. 日常会話とアカデミックな英語のギャップ | 教科の言葉や説明文にふれ、「勉強のための英語」を育てる |
| 2. Writing・Readingの客観的スコア不足 | テストなどで今のレベルを確認し、弱点を集中して伸ばす |
| 3. 態度・行動面の準備不足 | あいさつ、話の聞き方、理由をつけて答える練習をする |
| 4. 保護者面接でのミスマッチ | 学校の理念を理解し、家庭の方針を整理しておく |
どの対策にも共通して大切なのは、「わが子の今の力を、客観的に知ること」です。会話が上手な子どもほど、読む力や書く力の弱点が見えにくく、家庭だけで正確に判断するのは簡単ではありません。入試までの限られた時間を有効に使うためにも、専門家によるアセスメント(実力の確認)を受けて、何を優先して対策すべきかをはっきりさせることをおすすめします。英語が話せるという強みに、アカデミックな力と面接の準備をプラスすることで、合格の可能性はぐっと高まります。
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