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名古屋大学 Global 30 国際プログラム(G30)とは?英語学位プログラムの全体像を徹底解説

はじめに

近年、海外や日本国内のインターナショナルスクールに通う生徒の間で、日本語能力を問わず英語だけで学位取得を目指せる「英語学位プログラム(EDP: English Degree Program)」への関心が高まっています。慶應義塾大学や早稲田大学に続き、今回取り上げるのは名古屋大学の「Global 30 国際プログラム(G30)」です。

G30は、慶應や早稲田の個別プログラム(PEARLやSILSなど)とは少し性質が異なり、名古屋大学の複数の学部にまたがる10の英語学位プログラムをまとめた「国際入試の枠組み」です。そのため、まずはこの記事でG30全体の仕組み・出願方法・学費・奨学金といった共通事項を整理し、

本記事の情報はすべて、名古屋大学G30公式サイト(admissions.g30.nagoya-u.ac.jp)に掲載されている情報に基づいています。記事内の日付・数値等は2026年7月時点で公式サイトに掲載されている最新情報ですが、出願を検討される際は必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

1. 名古屋大学について

名古屋大学は1871年に設立された仮病院・仮医学校を起源とし、1939年に帝国大学(名古屋帝国大学)として設立された、日本を代表する国立大学のひとつです。

大学の主な特徴:

項目内容
2000年以降のノーベル賞受賞者数6名
特許出願数国内3〜4位
学部・大学院・研究所数大学院13、学部9、研究所等29
QSアジア大学ランキング(2024年)上位24位以内
総学生数約16,200人
留学生数2,500人以上(全体の15.5%、100か国以上出身)
提携校数60か国以上、450校以上
卒業後の就職内定率95%以上

また、いくつかの分野ではUS Newsの世界大学ランキングで高い評価を得ています(Space Science 77位、Plant & Animal Science 90位、Physics 93位、Chemistry 120位、Geosciences 147位、Neuroscience & Behavior 148位、Polymer Science 182位、Gastroenterology & Hepatology 191位)。

名古屋市について: 名古屋市は人口約233万人を擁する日本第4位の都市で、地域GDPは約13.9兆円。QSのBest Student Cities(学生に優しい都市)ランキングでは107位にランクインしています。

2. G30(Global 30 国際プログラム)とは何か

G30は2011年に開始された、名古屋大学の英語による学位取得プログラムの総称です。日本語が話せなくても、英語のみで学部・大学院の学位を取得できるよう設計されています。

G30の基本データ:

  • 開始年:2011年
  • 学部(学士)プログラム数:10
  • 修士プログラム数:16
  • 博士プログラム数:11
  • 学生対教員比率:約10対1
  • 日本人学生と留学生の比率:約3対1

学部段階のG30は、特定の1学部だけに存在する慶應PEARLや早稲田SILSのような「単一プログラム」ではなく、複数の学部(School of Engineering、School of Science、School of Agricultural Sciences、School of Law、School of Economics、School of Humanities)にまたがる10の入試トラックの集合体である点が最大の特徴です。

3. G30の学部(学士)プログラム一覧

G30の学部プログラムは、以下の6分野・10トラックで構成されています。

プログラム名担当スクール(学部)
Automotive Engineering Program(自動車工学)Mechanical Engineering専攻 – School of Engineering
Automotive Engineering Program(自動車工学)Electrical, Electronic and Information Engineering専攻 – School of Engineering
Physics Program(物理学)School of Science
Chemistry Program(化学)School of Science
Chemistry Program(化学)School of Engineering
Biological Science Program(生物科学)School of Science
Biological Science Program(生物科学)School of Agricultural Sciences
Social Science Program(社会科学)School of Law
Social Science Program(社会科学)School of Economics
Japan-in-Asia Cultural Studies Program(JACS:日本・アジア文化研究)School of Humanities

同じ「自動車工学」や「化学」といったプログラム名でも、所属するスクール(学部)が異なると教育内容・出願書類(面接・筆記試験の内容など)が変わるため、志望する際はどちらのスクール枠での出願かを明確にする必要があります。

4. 出願資格

G30の出願資格は、主に以下の3つのカテゴリーのいずれかを満たす必要があります。

  1. 12年間の非日本式教育課程を修了(見込み)していること
  2. 国際的な教育プログラムの修了資格を有すること:IB(国際バカロレア)、Abitur(ドイツ)、Baccalauréat(フランス)、GCE A-Level、European Baccalaureateなど
  3. 国際的な認定機関の認定校での12年間教育課程修了:WASC、ACSI、CIS、NEASC、Cognia、COBISのいずれかの認定を受けた学校での修了

上記に該当しない場合でも、認定された統一試験の成績+18歳以上であること、または大学側の個別審査によって出願資格が認められるケースもあります。

5. 出願スケジュール(2026年度入学の例)

G30の学部入試は、例年2回(1st Round・2nd Round)に分けて実施されています。以下は2026年度入学者向けのスケジュールで、すでに選考が終了している回のため、あくまで今後の出願スケジュールを把握するための参考情報としてご覧ください。

1st Round2nd Round
出願期間2025年11月4日〜12月3日 16:00(JST)2026年1月9日〜1月29日 16:00(JST)
面接実施時期2026年2月2026年4月
合否発表2026年3月中旬2026年5月中旬
一次選考通過後の書類提出期限2026年3月6日 16:00(JST)2026年4月25日 16:00(JST)

※2027年度入学(次期)の詳細スケジュールは本記事執筆時点(2026年7月)でまだ公式発表されていません。例年のパターンを踏まえると、11月頃から1st Roundの出願受付が始まる可能性が高いですが、必ず公式サイトの最新情報をご確認ください。

出願料: 5,000円(PayPal、Flywire、国内銀行振込に対応)

6. 出願に必要な書類

G30の出願では、以下の書類が必要です。

  • 卒業証明書
  • 成績証明書(Academic Transcript)
  • 各国統一試験(National Exam)のスコア:任意提出
  • 標準テストスコア(任意だが提出推奨):SAT/AP(学校コード:6535)、ACT(学校コード:5480)、EJUなど
  • 英語能力証明:中等教育3年以上を英語で受けた場合は免除。TOEFL(コード:7256)、IELTS(送付先機関名:”Nagoya University International Programs”)、Duolingo English Test(送付先機関名:”Nagoya University Undergraduate Admissions”)
  • エッセイ2本:AIによる生成は禁止されており、AI検出ソフトウェアによるチェックが行われます
  • 推薦状:最低1通、高校の教員・スタッフからのものに限る(大学教授、塾講師、家族、雇用主等は不可)。Physicsプログラム志願者は、推薦者Aに「Physics Learning Checklist」の記入も依頼する必要あり
  • パスポート/在留カードの写し
  • 奨学金申請書+収入証明書(提出するとG30奨学金の自動選考対象になります)

7. 選考方法(面接・筆記試験)

G30の選考は、書類審査(一次選考)と面接・筆記試験(二次選考、オンラインビデオ通話形式)の2段階で行われます。

  • 経済学部(Economics)・法学部(Law)・JACS:志望動機を中心とした面接
  • 理系プログラム(Science・Engineering):個人面接+筆記の口頭試問(oral exam)。理系・工学系は45分、社会科学系・JACSは30分程度
  • 口頭試問のルール:使用できるのは濃い色のマーカー・鉛筆と白紙のみ。電卓や公式集の使用は不可
  • 自動車工学・物理プログラム志願者は数学・物理の準備、化学・生物プログラム志願者は生物・化学・数学の準備が求められます

8. カリキュラムの特徴

G30の学部プログラムは4年制です。

  • 1年次:日本語授業に加え、共通基礎科目(Common Basic Courses)・専門分野基礎科目(Basics Courses for Specialized Fields)を履修
  • 2年次以降:専門科目を中心に履修
  • 4年次:卒業研究・卒業論文に取り組む

全学共通のリベラルアーツ教育として、以下のような科目群が用意されています。

科目区分主な内容
共通基礎科目Introduction to Skills for Academic Success、First Year Seminar、Language and Culture(英語/第二外国語/日本語)、Health and Sports Science、Data Science
専門分野基礎科目人文社会科学基礎科目、Global Liberal Arts
教養科目Global Liberal Arts、Contemporary Liberal Arts、Problem/Project Based Learning Seminar(3・4年次向け)

また、入学後は全学生が日本語教育を受けることが必須となっており、プレイスメントテストの結果に応じて初級〜上級のクラスに振り分けられます。

学年暦: 秋学期(Fall Semester)10月1日〜3月31日、春学期(Spring Semester)4月1日〜9月30日の2学期制です。

9. 学費・生活費

G30の学費は、国籍を問わず日本人学生と同額に設定されています。

項目金額
年間授業料535,800円
入学時の入学金(返金不可・一度限り)282,000円
出願料(一度限り)5,000円

月々の生活費の目安(公式サイトの参考値):

項目月額目安
住居費(学外アパート)30,000〜50,000円
光熱費10,000円
食費30,000円
通信費5,000円
保険料1,500円
その他個人支出10,000円
合計86,500〜106,500円

※生活費は個人のライフスタイルによって変動するため、あくまで参考値です。

10. 奨学金制度

G30には、学部生向けにいくつかの奨学金制度が用意されています。出願時に奨学金申請書と収入証明書を提出すると、自動的にG30奨学金の選考対象になります。公式サイトによれば、おおよそ10〜15%の学生が学費全額をカバーする奨学金を受給しているとのことです。

G30 Undergraduate Scholarship(G30学部奨学金)

  • 4年間の授業料を全額免除
  • 入学金は一度納入する必要があるが、入学後に返金
  • 4年間の合計で50万円の給付金(年額換算は公式サイトに明記なし)

MEXT奨学金(大学推薦)

  • 出願料は入学後に返金、入学金は免除、学業要件を満たせば授業料全額免除
  • 月額117,000円+地域手当3,000円の給付
  • 往復航空券支給
  • 対象は文部科学省が指定する国・地域の外国籍者が中心(日本国籍者は原則対象外)

その他の共通奨学金:

  • 授業料・入学金減免制度:経済的困窮度に応じて50〜100%の減免
  • 文部科学省奨学金(Monbukagakusho Honors Scholarship):私費外国人留学生対象、月額48,000円を6か月間または3月31日まで支給
  • 私費外国人留学生向け民間奨学金:大学のリンク先で情報提供
  • ファーストリテイリング財団奨学金:ベトナム・インドネシア・フィリピン出身学生対象
  • JUGAS奨学金:シンガポール出身学生対象

11. 合格率の推移(2022〜2025年度)

公式サイトに掲載されている過去4年間の合格率は以下の通りです(年度により変動が大きいため、あくまで参考値としてご覧ください)。

プログラム2022202320242025
自動車工学(機械)10%4%4%4%
自動車工学(電気電子情報)8%4%2%4%
物理学(理学部)15%12%9%8%
化学(理学部)33%30%20%19%
化学(工学部)14%10%10%6%
生物科学(理学部)9%8%11%8%
生物科学(農学部)16%12%11%6%
社会科学(法学部)35%48%29%25%
社会科学(経済学部)17%17%15%10%
JACS(人文学部)18%18%33%10%

全体的な傾向として、近年は多くのプログラムで合格率が低下傾向にあり、特に自動車工学や生物科学(農学部)は年度によって非常に狭き門となっています。より詳細な標準テストスコアの分布や志願者数・合格者数のデータは、公式サイトのPDF資料(下記参考情報源に記載)でも確認できます。

おわりに

名古屋大学のG30国際プログラムは、慶應義塾大学や早稲田大学の英語学位プログラムとは異なり、複数の学部にまたがる10の学士プログラムを擁する、非常に幅広い選択肢を持つ国際入試の枠組みです。国立大学ならではの学費の安さや、95%以上という高い就職内定率、充実した奨学金制度も大きな魅力といえるでしょう。

次回以降の記事では、今回のG30概要記事を踏まえたうえで、自動車工学プログラム(Automotive Engineering Program)、生物科学プログラム(Biological Science Program)、化学プログラム(Chemistry Program)について、それぞれの学部固有のカリキュラムや出願のポイントをさらに詳しく解説していきます。

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