早稲田大学 創造理工学部(CSE) 英語学位プログラム(EBSE)とは?出願・学費・カリキュラムを徹底解説
目次
はじめに
早稲田大学は6つの学部で英語のみによる学位取得プログラム(EDP: English Degree Program)を提供しています。今回取り上げるのは早稲田大学理工学術院のうち「創造理工学部(School of Creative Science and Engineering、以下CSE)」が提供する英語学位プログラムです。理工系のEDPは、基幹理工学部が数学・情報系であるのに対し、創造理工学部は機械工学と社会環境工学(土木・環境工学)という「ものづくり・インフラ」に近い分野を扱う点が特徴です。本記事は早稲田大学理工学術院公式サイト(waseda.jp/fsci)と創造理工学部公式サイト(souzou.w.waseda.jp)に掲載されている情報のみに基づいて執筆しています。
1. 創造理工学部(CSE)とは
創造理工学部は、「人間」「生活」「環境」という3つのキーワードに基づき、社会が直面するさまざまな問題を科学技術の観点から解決し、多様な価値を反映した新しい豊かさを創造することを教育理念としています。人間やコミュニティと密接に関わる建築・機械系分野と、環境や社会基盤に関連する分野を横断する5つの学科(建築学科、総合機械工学科、経営システム工学科、社会環境工学科、環境資源工学科)と社会文化領域から構成されています。
英語学位プログラムとしては、このうち以下の2専攻が英語のみで学位を取得できる形で提供されています。
| 専攻名 | 授与される学位 | 関連学科 |
| 機械科学専攻(Mechanical Engineering, ME) | 学士(工学) | 総合機械工学科と連携 |
| 社会環境工学専攻(Civil and Environmental Engineering, CE) | 学士(工学) | 社会環境工学科・環境資源工学科・建築学科と連携 |
2. 英語学位プログラム(EBSE)の全体像
早稲田大学理工学術院は2010年、日本で最も早く「英語のみで学位を取得できる国際プログラム」を導入した教育機関のひとつとなりました。その後2018年4月に新分野の追加や教員数の増強を伴う形でプログラムが再編され、現在の「英語学位プログラム(EBSE: English-based Undergraduate Program in Science and Engineering)」に至っています。
このプログラムは基幹理工学部・創造理工学部・先進理工学部の3学部にまたがっていますが、先進理工学部については2023年度入学以降、英語学位プログラムのAO入試(9月入学)の募集が停止されています。そのため、現在英語学位プログラムとして出願可能なのは、基幹理工学部と創造理工学部の2学部のみです。
3. 2つの専攻の詳細
機械科学専攻(Mechanical Engineering, ME)
現代の機械工学は、従来型のものづくり分野に加え、ロボティクスや医療工学といった新しい領域までカバーしています。社会からのさまざまな要請に応える形で、現代の機械工学には建築学や経営システム工学の視点を統合することも求められています。
- 実験・実習科目や卒業研究を含め、機械工学に加えて建築学・経営システム工学の科目も履修可能
- すべて英語開講科目のみで卒業できる設計になっているが、日本のアカデミアと産業界のつながりを学ぶため、日本語開講科目の履修も推奨されている
- 研究分野の例:ロボティクスとメカトロニクス、都市工学(Urban-tech)、熱流体工学、構造・機構設計、共創インターフェースデザイン、建築環境工学、人間支援・拡張ロボティクス、バイオロボティクスなど
- 専任教員は総合機械工学科・建築学科・経営システム工学科など複数学科から参加しており、学際的な指導体制が特徴
社会環境工学専攻(Civil and Environmental Engineering, CE)
土木工学の基礎を幅広く学び、持続可能な社会を実現するためのインフラ構築を通じて、より良い人間社会を創造することを目指す専攻です。環境に配慮した建設のあり方、自然災害への安全性・防災、都市環境の改善、自然環境の保護など、グローバルな視点から幅広い課題に工学的アプローチで取り組みます。
- 卒業後の進路:土木関連公務員、建設業界、運輸業界、エネルギー業界のエンジニア・プランナーなど
- 教育プログラムは社会環境工学科が中心となり、環境資源工学科・建築学科と連携して運営
- 研究分野の例:構造工学、地盤工学、河川工学、沿岸工学、交通計画、都市・地域計画、環境工学(水質・大気)、資源工学、石油工学、ライフサイクルアセスメントなど
4. 教育方針(3つのポリシー)
創造理工学部の英語学位プログラムは、以下の3方針に基づいて運営されています。
ディプロマ・ポリシー: 現在深刻化する人口増加、食料・水不足、資源枯渇、地球温暖化と自然災害、高齢化社会、地域間の医療格差、社会インフラの老朽化といったグローバルな課題を理解し、科学技術の視点から実践的な解決策を導き出せる人材の育成を目指します。
カリキュラム・ポリシー: 数学・物理・基礎実験を扱う一般工学科目、理論と実践を組み合わせた専門科目、英語・日本語の語学科目をバランスよく配置。初年次には「SHIP」と呼ばれる学部横断型のフィールドワーク科目があり、エネルギー・環境・防災・人間社会・デザインといったテーマを扱いながら、2つの専攻に関する幅広い知識と視点を養い、その後の専門科目選択の参考にする設計になっています。4年次には研究室での卒業研究が課程の集大成となります。
アドミッション・ポリシー: 「学問の独立を守る」という早稲田大学の建学の精神に基づき、基礎学力・知的好奇心・進取の精神を持つ人材を広く募集。特に自然科学分野での高い能力、英語で学ぶための十分な語学力、論理的思考力、グローバルな視点からリーダーシップを発揮する意欲、幅広い教養が重視されます。
5. 出願資格・入試スケジュール
創造理工学部の英語学位プログラムは、日本以外の教育制度で12年間の課程を修了した学生を対象としたAO入試(9月入学)を実施しています。基幹理工学部と共通の入試情報ページで公開されています。
2027年9月入学の入試スケジュール(本記事執筆時点である2026年7月現在、次回の出願サイクルとして公式サイトに掲載されている最新情報):
| 項目 | 日程 |
| 出願期間 | 2027年1月7日〜1月28日 |
| 書類選考結果発表 | 2027年4月9日 |
| 面接選考 | 2027年4月17日または18日 |
| 最終合格発表・補欠者発表 | 2027年4月23日 |
| 繰り上げ合格発表 | 2027年5月24日 |
募集人数(2027年9月入学):
| 学部 | 募集人数 |
| 基幹理工学部 | 30名 |
| 創造理工学部 | 30名 |
※選考方法は書類選考+面接です。 ※この募集人数は各学部全体(複数専攻合算)の人数として公式サイトに掲載されています。専攻ごとの内訳は明記されていないため、正確な情報は必ず出願要項でご確認ください。 ※2026年9月入学(1つ前のサイクル)は、2026年1月7日〜2月10日に出願受付が行われ、2026年4月に書類選考結果、5月に繰り上げ合格発表が行われました。本記事執筆時点ではこのサイクルはすでに終了しています。
6. 出願書類
出願にあたっては、以下のような書類が必要です(詳細は必ず最新の出願要項でご確認ください)。
- 卒業証明書(卒業見込証明書)
- 成績証明書
- 標準テストスコア(教育制度により異なる。台湾のGSAT、シンガポールのGCE A-Levelなど個別の案内あり)
- 推薦状(Letter of Recommendation)および推薦者向け記入要領
- 志望理由書
- 選考料減免制度を利用する場合の申請書(Application Form for Screening Fee Waiver Program)
- 評価シート(Evaluation Sheet)
- オンライン出願システム「TAO(The Admissions Office)」を通じた出願手続き
7. 学費
早稲田大学の英語学位プログラムの学費は、全学共通のPDF資料に学部ごとの内訳が掲載されています。創造理工学部の場合は以下の通りです。
| 項目 | 金額 |
| 入学金 | 200,000円 |
| 授業料(年額) | 1,584,000円 |
| 実験実習費 | 102,000円〜104,000円 |
| 学生健康保険互助組合費 | 3,000円 |
| 初年度納入金合計 | 1,889,000円〜1,891,000円 |
| 2〜4年次の年間学費(公式資料記載額) | 1,784,000円 |
※学費は前期・後期の年2回に分けて納入します。入学年度は入学金と前期分の学費を入学手続き時に納入する必要があります。 ※実験実習費が「102,000円〜104,000円」と幅を持って記載されているのは、専攻(機械科学専攻/社会環境工学専攻)によって金額が異なるためと考えられますが、公式PDF内に専攻別の内訳は明記されていません。正確な金額は入学手続き案内で必ずご確認ください。 ※実験実習費等の一部項目は、公式資料内で「AY2025(2025年度)の参考額であり、AY2026(2026年度)分は未確定」と注記されています。 ※4年次後期には、卒業生団体費として10年分の40,000円が別途必要です。
8. 奨学金
理工学術院独自の奨学金の詳細は、早稲田大学国際教育センター(CIE)のウェブサイトに掲載されています。
- 早稲田大学が提供する奨学金は20種類以上、外部団体が提供する奨学金は100種類以上
- すべて給付型(返済不要)
- 入学前に決定する特別奨学金と、入学後に出願する奨学金の両方が存在
- 国際学生の約40%が何らかの奨学金を受給
- フルカバー(学費全額+生活費)のJASSO奨学金は大学院生のみが対象
9. 学部間・専攻間の転部・転科制度
早稲田大学の英語学位プログラムには、EBSE内での学部・専攻間の転部試験制度があります(2026年度の場合、出願期間2026年7月13日〜17日、面接2026年8月28日、結果発表2026年9月1日)。ただし、以下の点に留意が必要です。
- 他大学からの編入学・単位認定は一切受け付けていない
- 早稲田大学内でも、理工学術院以外の学部からの転部・単位認定は不可
- 英語学位プログラムに入学した学生は全員、1年次から4年間のカリキュラムを完了する必要がある
- 転部先はEBSEに参加している学部・専攻に限られる
10. 卒業後の進路
理工学術院は学部から大学院までの一貫教育を特色としており、多くの卒業生が大学院に進学して専門性を深めています。機械科学専攻(ME)の卒業生は自動車・ロボティクス・医療機器などのものづくり分野に加え、経営システム工学的な視点を活かしたコンサルティングやIT分野にも進んでいます。社会環境工学専攻(CE)の卒業生は、土木関連の公務員、建設会社、運輸・エネルギー業界のエンジニアやプランナーとして活躍しているほか、環境コンサルティングや資源開発分野に進む卒業生もいます。
おわりに
早稲田大学創造理工学部の英語学位プログラムは、「人間」「生活」「環境」という視点から、ものづくりとインフラの両面で社会に貢献できる人材を育成するユニークなプログラムです。機械工学やロボティクスに関心がある受験生には機械科学専攻(ME)、土木・環境・都市計画に関心がある受験生には社会環境工学専攻(CE)が、それぞれ有力な選択肢となるでしょう。
これで早稲田大学の6つの英語学位プログラム(SILS・SPSE・TAISI・JCulP・基幹理工学部・創造理工学部)すべてをご紹介したことになります。それぞれの特色を比較しながら、お子様に合ったプログラムを検討する際の参考にしていただければ幸いです。
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