白馬インターナショナルスクール(Hakuba International School)とは?特徴・カリキュラム・入学情報を徹底解説
目次
長野県白馬村という日本屈指の山岳リゾート地に、2022年に開校した全寮制の中高一貫インターナショナルスクール「白馬インターナショナルスクール(Hakuba International School、通称HIS)」をご存知でしょうか。自然環境を活かしたアウトドア学習やサステナビリティ教育、探究型のプロジェクト学習など、従来の日本の教育とは一線を画すユニークな教育モデルで注目を集めています。本記事では、公式サイトの情報をもとに、学校の概要から教育方針、寮生活、入学プロセス、学費まで、HISについて詳しくご紹介します。
1. 学校の基本情報

白馬インターナショナルスクールは、長野県北安曇郡白馬村(1998年長野冬季オリンピックの開催地の近く)に位置する、全寮制を中心とした男女共学の中高一貫校です。学校を運営する母体は「一般財団法人白馬インターナショナルスクール(Hakuba International School Foundation)」で、非営利法人として理事会のもとで運営されています。
| 項目 | 内容 |
| 所在地 | 〒399-9301 長野県北安曇郡白馬村北城12134-1 |
| 開校年 | 2022年8月(2015年から夏季プログラムを先行実施) |
| 対象学年 | 2025-26年度は7年生(中学1年相当)~11年生(高校2年相当)。2026-27年度に7~12年生の全学年がそろう予定 |
| 在籍者数 | 約60名(2025-26年度時点) |
| 出身国・地域数 | 18の国・地域 |
| 生徒・教職員比率 | 2:1 |
| 開講科目数 | 45以上の授業科目 |
| 寮生比率 | 全生徒の約85% |
| 教育形態 | 全寮制(一部通学生も受け入れ) |
| 授業言語 | 英語(日本語も必修) |
キャンパスはスキー場から徒歩約500メートル、学校専用の森(約9エーカー)を徒歩3分の場所に有しており、四季を通じてスキー、スノーボード、ハイキング、川下りなど豊かな自然環境を教育に活用しています。
2. 教育理念・ミッション
HISが掲げる中心的な問いは、「人と地球がともに繁栄する(flourish)ためには、どのような教育が必要か」というものです。学校では、生徒一人ひとりのウェルビーイング(心身の健やかさ)を重視しながら、知的な挑戦と、世界が必要とする共感力・知恵・リーダーシップを育てることを目指しています。
公式サイトが掲げるビジョン・ミッションは以下の通りです。
- ビジョン:すべての生徒が、自分自身・身近なコミュニティ・グローバルなコミュニティ・自然環境との間に、意味のある調和の取れた関係を築くこと。すべての生徒が、持続可能性を体現する学びの拠点の一員として学ぶこと。すべての生徒が、より持続可能で公平な社会を実現する学びの冒険に挑むこと。
- ミッション:多様で挑戦的、意味があり本物の学びの経験への没入を通じて、生徒が自己理解を深め、自然環境や地域社会との関係を築くこと。この過程で、生徒は自らの可能性を発見し、力を得て、周囲の世界に良い影響を与える存在となる。
- 価値観:環境や互いへの関係性を大切にする「スチュワードシップ(stewardship)」を、生徒に授けるべき最も重要な価値観の一つと位置づけています。
教職員は生徒に対して「教師(teacher)」ではなく「ガイド(guide)」と呼ばれており、これは思春期を「自己発見と成長の冒険(adventure)」と捉え、生徒たちの探究に伴走する存在であることを象徴しています。
創立者・運営体制
HISは、東京大学経済学部卒業後、モルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスで金融業界のキャリアを積んだ草本朋子(Tomoko Kusamoto)氏が創立者です。カリフォルニア大学バークレー校でMBAを取得後、第一子の誕生を機に金融業界を離れ、2009年に家族とともに白馬へ移住。自然の中での子育てを求めたことがきっかけとなり、2015年から地域でサマープログラムの運営を開始し、2022年8月の正式開校に至りました。
現在HISは、以下の3名による共同リーダーシップ体制で運営されています。
- 草本朋子氏:創立者・理事長(Board Chair)。白馬に常駐し、日々の学校運営を統括
- リン・ケニー(Lynne Kenney)氏:共同校長(Co-Principal)。白馬に常駐
- クリス・バーム(Chris Balme)氏:共同校長(Co-Principal)。米国サンフランシスコを拠点に、オンラインでの日次ミーティングや2~4か月に一度の白馬訪問を通じて関与。サンフランシスコの中学校「Millennium School」の共同創設者としての経験を持つ教育起業家
3. 学びの3つの柱
HISの学びは、以下の3つの手法を軸に展開されます。
- プロジェクト型学習(Project-Based Learning):実社会の課題に取り組む協働型のプロジェクトを通じて、知識を実践的に応用し、理解・定着・意欲を高めます。
- 社会性と情動の学び(Social-Emotional Learning, SEL):感情の理解・管理、良好な人間関係の構築、困難への対処法など、生涯にわたって役立つスキルを育みます。
- アウトドア学習(Outdoor Learning):全生徒が年間を通じてキャンプや遠征に参加します。年度初めにはアドバイザリーグループ単位でのキャンピングトリップがあり、季節ごとの遠征を通じて、仲間との絆を深め、学びを実体験に結びつけます。
これらに加え、「Human Flourishing Curriculum(人間的繁栄のカリキュラム)」という独自の枠組みがあり、学びを以下の3領域に整理しています。
- 基礎的リテラシー(Foundational Literacies):言語、数的処理能力、科学リテラシー、ICTリテラシー、金融リテラシー、文化・市民リテラシー、身体リテラシー、芸術リテラシーなど
- コンピテンシー(Competencies):批判的思考と問題解決、創造性、コミュニケーション、協働、システム思考
- マインドセット(Mindsets):好奇心、主体性、適応力、社会的・文化的な気づき、レジリエンス、前向きさ、集中力、寛容さ
このカリキュラムは、MITの「Compassionate Systems Framework」、「Center for Healthy Minds」、世界経済フォーラム(WEF)の教育レポートなど、研究に基づくアプローチを参考に設計されています。生徒の成長や学びの記録は「HIS Learning Passport」というポートフォリオで管理されます。
4. カリキュラム構成・卒業要件

学校モットー・理念
HISのモットーは「Let curiosity be your guide(好奇心をガイドにしよう)」。全授業がカレッジ準備(college-prep)レベルで、名誉科目(Honors)はありません。
言語ポリシー
英語が主要な授業言語です。入学希望者に英語のネイティブレベルの流暢さは求めませんが、英語での複雑なクラスディスカッションに参加できる程度の英語力が求められます。日本語は全生徒必修で、中学期間を通じて、また高校期間中も最低1年間は学習します。
卒業要件(10~12年生)
| 科目 | 必要単位 | 備考 |
|---|---|---|
| 英語 | 9単位 | 毎年履修 |
| 数学 | 6単位 | Algebra IIより先の学年を1年分必須 |
| 理科 | 6単位 | 生物・化学・物理を含む |
| 人文科学 | 6単位 | 公民・経済学・世界史・グローバルスタディーズを含む |
| 世界言語 | 6単位 | 同一言語2年連続、うち1年は日本語必須 |
| 芸術/コンピューティング等 | 3単位 | |
| 選択科目 | 3単位 | |
| 体育 | 3単位 | 学外スポーツ活動でも代替可 |
| 合計 | 42単位(推奨54単位) | 1単位=1トライメスター分 |
- 年間3トライメスター制(秋・冬・春)
- 週4日、1日6コマ授業。5日目は校外プロジェクト等
- 成績は非加重(unweighted)GPA、クラス順位なし
- Mastery Transcript Consortium(MTC)加盟校で、習熟度ベースの評価も導入
開講科目(分野別)
授業は、以下の分野にわたって45以上の科目が開講されています(2025-2026年度 Course Booklet より)。
- 人文科学(Humanities):英語(Harkness形式によるソクラテス式セミナーを含む)、世界史、公民・経済学・グローバル課題、国語(帰国生・日本語ネイティブ向け)、日本社会・文化論など
- 数学:Pre-Algebra、Algebra I/II、Advanced Algebra II、AP Pre-Calculus、AP Calculus AB/BC(2026-27年度以降はAP Statisticsも予定)
- 理科:生物・化学・物理(アルパイン工学と統合したProject Physics含む)が必修。選択科目として、栄養学、アルパイン・スタディーズ、農業、免疫学、昆虫学、天文学、雪氷学(Snow & the Snow Pack)など(2026-27年度以降、AP Biology、AP Chemistry、AP Environmental Scienceの開講を予定)
- 世界言語:日本語I~IV、AP Japanese Language and Culture(2026-27年度以降、AP Chinese Language and Cultureの開講を予定)
- 芸術:2D/3Dアート、テキスタイル版画、縫製・ファッションデザイン、映像制作(フィルムメイキング)、音楽・作曲
- コンピューティング・イノベーション・デザイン:3D CADモデリング、サステナブル建築・都市デザイン、回路工作、AI・機械学習入門、起業・製品デザイン、ゲームデザイン/VR、データ可視化とPythonプログラミング、ロボティクス、Webデザインなど
- 体育:アウトドア活動中心の「The Great Outdoors」、健康・フィットネス、学外スポーツ活動による独立体育(Independent PE)
- AP(アドバンスト・プレイスメント)科目:AP Seminar、AP Research(AP Capstone)、AP Macroeconomics、AP Microeconomics、AP Chinese Language and Culture、AP Japanese Language and Culture、AP Biology、AP Calculus AB/BC、AP Chemistry、AP Environmental Science、AP PreCalculus、AP Physics C(Mechanics)、AP Statistics(一部は2026-27年度開講予定)
特色プログラム
- エンジニアリング認定プログラム:物理・工学系科目+研究プロジェクトを修了すると取得
- アルパイン・スタディーズ認定プログラム:白馬の山岳環境をテーマにした環境・社会・ガバナンス学習プログラム
- オンライン科目:HIS未開講科目のみ追加費用で外部オンライン講座を履修可(GPAには反映されず)
- 独立研究(Independent Study):生徒自身が研究テーマを設定し取り組む学期制プログラム
- 交換留学(Whitfield School, 米国ミズーリ州):10・11年生対象、2025-26年度からパイロット開始(1学期間)
5. 認定・アクレディテーション

HISは日本国内の学校として認可を受けているほか、国際的な学校評価機関であるWASC(Western Association of Schools and Colleges)の認定プロセスを現在進行中です。WASCはアジアの多くの優れたインターナショナルスクールを認定しているグローバルな認定団体で、認定を取得すればHISの卒業証書は世界の大学等でより広く通用することになります。
なお、開校から日が浅いため、HISからの大学進学実績はまだ限定的です。初めての卒業生(第1期生)は2027年に卒業予定で、大学進学カウンセラー2名体制で進学サポートを行っています。
6. 寮生活(Residential Life)

HISは全寮制を基本とし、在籍生徒の約85%が寮生です。寮は男女別に2棟運営されています。
- Blanche(女子寮):伝統的な日本の旅館を大規模改修して2022年8月に開設。商業用キッチンを備え、専属シェフが全生徒・教職員の昼食を提供するほか、学習スペースや共有ラウンジ、隣接する広場へのアクセスも整っています。
- Miyama(男子寮):広い共有スペースと学習エリアを備え、HISの校舎「Mont Bien」や、将来のキャンパス予定地である9エーカーの敷地に近接しています。
2棟合わせて約50名の生徒が生活しており、寮内には生徒とともに暮らす寮教員(residential faculty)が常駐しています。
寮生活の特徴
- 部屋は2人部屋または3人部屋で、各部屋に専用バス・トイレ、二段ベッド、机、タンスを完備
- ルームメイトは、性格や生活習慣に加え、異なる文化的・言語的背景を持つ生徒同士が一緒に暮らすよう配慮したペアリングが行われ、異文化理解と英語学習の促進を図っています
- 寮の保護者(dorm parents)が週1回、寮の共有スペースで生徒向けの集会を開催
- 週末には、リンゴ狩りやティラミス作り、映画鑑賞、地元の猫カフェ訪問など、教員企画のアクティビティが実施される(秋・春学期は週2回、冬学期は週1回に加えてスキーが毎週末開催)
7. アウトドア環境・サステナビリティ

学校周辺には、スキー場(徒歩約500メートル)や学校専用の森(約9エーカー)が広がり、四季を通じて多様なアウトドア活動が可能です。冬季はスキーやスノーボード、スノーシュー、その他の季節はトレッキング、日帰りハイキング、マウンテンバイク、川や湖での水上アクティビティなどが行われます。
HISは、気候変動や生物多様性の喪失、資源の枯渇といった社会課題を「自分事」として捉え、持続可能な社会の担い手を育てる「サステナビリティ教育」を重要な柱としています。公式サイトによれば、学校としての本格的なサステナビリティ方針は現在策定段階にあり、生徒が主体となって教員や外部専門家とともに、長期的なキャンパス設計や、学校が所有する9エーカーの森の生態系・水系に関する調査など、複数のテーマに取り組む計画が進められています。この森の土地の歴史や動植物・菌類の生態、水の流れ、そしてそれらをつなぐシステム全体を学ぶことを通じて、生徒たちは「この土地の担い手として何ができるか」を探究します。
また、2023年には教育関係者を招いた国際的なカンファレンス「Hakuba Forum(白馬フォーラム)」を白馬で開催するなど、ウェルビーイングを軸にした教育のあり方を世界の教育リーダーと議論する場としての役割も果たしています。
さらに、6~9年生(小学6年~中学3年相当)を対象に、毎年サマープログラムも実施しており、プロジェクト型学習とアウトドア体験、サステナビリティをテーマにした短期集中型のプログラムとして、国内外の生徒を受け入れています。
8. 入学に関する情報
求める生徒・家庭像
HISでは、以下のような価値観を持つ家庭からの出願を歓迎しています。
- 学校教育において生徒のウェルビーイングを最優先事項と考え、社会性・情動面のスキルの育成を重視する
- 暗記中心ではない、実社会の複雑な課題に取り組む深い学びを求めている
- 自然を愛し、自然との関わりを通じて人生への洞察と地球を大切にするスキルの両方を得られると信じている
出願プロセス
- オンラインの入学説明会(Admissions Info Session)に参加
- 問い合わせフォームを提出し、詳細情報と次のステップ(出願書類、成績証明書、推薦状、Zoomでの面接)の案内を受け取る
- 希望に応じて白馬を訪問し、現地見学(要事前予約)
- 入学に関する質問は、入学責任者(Director of Admissions)のDavid Kenney氏へ英語でメールにて問い合わせ可能
出願は通年のローリング方式で受け付けられており、新入生は主に8月末の新学年開始時に入学しますが、年度途中からの編入も一部受け入れています。
9. 学費(2026-2027年度)
※法人口座からの学費支払いは受け付けていません。
| 項目 | 金額 |
| 出願料(Application Fee) | 25,000円(返金不可) |
| 入学登録料(Registration Fee) | 海外在住者:500,000円/国内在住者:300,000円(いずれも一度限り、返金不可) |
| 中学部授業料(年額) | 3,930,000円 |
| 高校部授業料(年額) | 4,450,000円 |
| 寮費(年額) | 2,150,000円 |
| 施設設備費(年額) | 寮生:530,000円/通学生:420,000円 |
※上記の費用はいずれも返金不可です。最新の学費情報は必ず公式サイトでご確認ください。
まとめ
白馬インターナショナルスクールは、豊かな自然環境を教育資源として最大限に活用しながら、プロジェクト型学習・社会性と情動の学び・アウトドア教育を柱に、「人と地球がともに繁栄する教育」を追求するユニークな全寮制インターナショナルスクールです。開校からまだ日が浅く、大学進学実績やWASC認定など今後の発展途上にある部分もありますが、少人数・低い生徒教員比率による手厚い指導や、多国籍な環境での寮生活を通じた人間的成長を重視する教育方針は、従来の学校とは異なる選択肢を求めるご家庭にとって魅力的な選択肢となるでしょう。
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